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福島県会津 木造支援レポート

2024.1.10.第3回検討会 設計者選定プロポーザル審査講義

会津若松地方森林組合事務所新築プロポーザル支援

 

 
第三回目の検討会は、「プロポーザル審査事前検討」と題し、山形工科短期大学教授の吉田さんにお話しいただきました。吉田さんは、白鷹町の複合庁舎設計・建設時にコーディネーターとして活躍。その経験からプロポーザル審査での留意点等を解説いただきました。
 

白鷹町での取組から学ぶ

吉田さんからは、プロポーザルなので大げさな提案が多くなる点はあること。コストやメンテナンスへの配慮は大事。竣工後は音や光の問題が出やすいこと。良心的な設計者を選ぶべきなどの留意点を教わりました。同時に白鷹町は自然災害を機に町産材活用、庁舎木造化へ取り組んだことも知りました。
 
講義後にヒアリング審査だったので、参加審査委員からは、経費の考え方や木材の分離発注のことなどの質疑が出ていました。講義後に吉田さんには建築の専門家として審査委員へ参加していただきました。
 

設計者(人)を選ぶヒアリング審査

 
合計7社の提案があり、各社のヒアリングと質疑を行いました。7社それぞれのプレゼンテーション。どのように審査、採点するか悩ましい点もあります。事前の審査準備会を行った際には、各案の概要を審査委員で確認し、疑問点などを整理しました。その際に、どのように設計者の「やる気」と「会津材のことを知っているか」を確認できるかという意見がまとまりました。
 
プレゼンテーション後の各社へ共通質問をまとめました。より具体的な回答を得るために、今後の打合せ回数や木材調達の留意点、会津材の使い方に関して質問しました。回答も各社それぞれ。やはり具体的に的確な回答があった会社は、評価が高くなると感じました。
 
結果的には、滋賀県林業会館の講義の際にアドバイスがあった、設計者(人)を選ぶという視点を大切にし、採点評価し設計者が選ばれました。
 

プロポーザルのプロセスによる学び

 
設計者選定および、選定後の第一回設計者打合せへもアドバイザーとして同席させていただきました。全体を通して感じたことは、森林組合の皆さんは、木造建築に関しては当初は専門外のため不安が多かったのですが、最後は、木造建築に詳しくしっかりと要望を伝えられるようになっていました。
 
プロポーザル要領や審査を行うことを通して、支援検討会を開催し、様々な講師や事例から学んだことで、少しづつ木造建築を学ぶプロセスになっていました。
 
だから、審査もしやすかったし、選定後の第一回設計者打合せでも、このような建築にしたいという発注者意図をしっかりと、沢山伝えることができていました。
 
プロポーザル後に選定した設計者とうまくコミュニケーションが取れない、思っていたより設計者が木造設計できないなどの課題も少なくありません。しかし、発注者が木造の知識を増やすことで、対応力ある設計者を選定し、コミュニケーションをとることができ、より良い木造建築の実現へつながることが今回の支援で分かりました。
 

木造建築の設計者選定プロポーザルの紹介

 

 
今回の取り組みをパンフレットへまとめました。
プロポーザル実施は手間かかると思われるかもしれません。しかし、実施プロセスが関係者の木造建築の学びへつながり、よりよい建設プロジェクトへつながるメリットがあります。ぜひ、建物の企画ある場合は木造化、設計者選定プロポーザルでいい設計者と巡り合う機会づくりはいかがでしょうか。
 
木造企画支援やプロポーザル支援なども行っています。
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