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秋田県大館市 木造支援レポート

2023.10.17.第1回WG 課題抽出と工場見学

非住宅木造・木質化推進WG

秋田県大館市は県北部に位置し青森県にも近く古くから交通の要地として栄えた歴史があり、秋田犬の里としても有名な街。大館市等で取り組まれている「北麓地域林業成長産業化協議会」の木造化支援が始まりました。
 
大館市の製材業は、秋田杉の杉板製造が主で県外出荷が隣接県にくらべても非常に多い地域性があります。板の製材、広葉樹の製材、集成材の製造と特色ある製材所があるのも特徴。

WGでは、木造が高いというがコストの見直しと情報共有の必要性。若手や木造技術者の育成。木材の使い方や調達の見通しを分かるようにすべき。広葉樹の活用。地域の情報とりまとめと情報発信の必要性などの課題や改善案などの意見が取りまとめられました。

関係者が集う場としての取り組みが始まりました。これから木材活用、木造建築普及のための場づくりを検討していきます。
 

秋田杉の板材から桶樽も製造する沓澤製材所さんへ

地域の製材所を理解するために工場見学へ。

沓澤製材所さんは、昭和2年の桶樽業から始まり中目丸太による下地用製材の製材業へ。丸太を板材へ加工し、樹皮やおがくずなどはボイラーの熱源へ。広大な敷地で天然乾燥と人工乾燥による木材乾燥を進める製造ラインがあります。機械化、自動化が進んでいることもあり、女性や高齢なスタッフもいました。

製材所工場の見学では珍しい桶樽の製造スペースも見学。
桶樽に利用する杉は樹齢150年以上の天然秋田杉を利用しています。だから工場内へ入ると他とは異なる杉の香りがします。濃い落ち着いた杉の香りという感じでしょうか。

秋田杉と桶樽の歴史、製造工程など見学させていただくと、やっぱりほしくなります。一番小さい桶を味噌入れに購入しました。これから味噌の味わいの変化が楽しみです。


フンデガープレカット加工機が稼働中のティンバラムさんへ

集成材工場のティンバラムさんを見学。
集成材のもととなるラミナの板材接着から板同士の接着工程、その後の仕口加工プロセスを各棟をまわり見学。勝手に接着材を利用しているのでもっと接着剤臭するのかと思っていましたがそんなことはありませんでした。工場内には約400㎜角の柱が多数加工中でした。万博で建てられる柱です。近くで見るとなかなかの迫力。

関連する各種部材をフンデガーが自動加工していました。ドリルや丸鋸のようなものが次々と自動で動き出し仕口加工している様子はしばらく見ていて飽きない感じです。大きな部材が製造から出荷まで、プロセスごとにヤードがあり、素材から製品・建築部材としての集成材になっていくプロセスがみられて構成がよくわかりました。
 
大館市内に板と集成材両方の工場があり、非住宅木造建築を建てる上で、適材適所に地域内の木材を利用し、県外とも効率的に連携できる仕組みづくりがこれから必要です。工場を見学すると具体的にイメージがしやすくなりました。これから地域内外の発注者や設計者の方にも工場見学いただき木造を身近に感じてもらえるといいなと感じています。