住まい調査は台所と押入れから
既存・中古住宅の劣化状態を調査する方法や視点を紹介します。リフォームの第一歩です。
中古住宅購入後もしくは今まで住んでいた住宅をリフォーム・リノベーションしよう!と考えた時、その住まいがリフォーム・リノベーションできるのかなかなか判断できないですよね。リフォーム・リノベーションしようとする住まいの劣化具合によっては、直すより建て替えた方がよい場合もあります。そのためにも、最初にその建物の傷み具合、劣化調査を行う必要があります。どのような部分を調べるのか、傷んでいた場合直せるのか?古い家の調査診断と対策について紹介していきます。
1.まずは、台所と押入から調査の入口確認
住まいの状態を診断するには、室内ではない「床下」と「天井裏」から確認します。
床下を見るためには、台所に床下収納兼点検口がある場合が大半なので、まずは台所へ案内してもらいます。床下収納ボックスを取り外して床下の状態を確認している様子です。
もし、点検口がない場合は、次に和室の畳を上げて下地板の荒床をはがして覗きます。ちなみに、畳はドライバーでヘリのところから持上げます。
天井裏を見るためには、押入れの天井でどこか持ち上がるところを探します。持ち上がるところを発見したら、そこから天井裏を点検します。家によっては、納戸や収納の天井の一部が持ち上がる場合もあります。
調査の入り口を確認できたところで、各部分の調査方法などをご紹介していきます。
2.床下は、すっきりかジメジメか
床下の湿度が高くカビなどが発生している様子
床下で確認するのが風の流れと湿度感です。築30年以上前の建物は、大半が床下は土の場合が多く、地面からの湿度により床下地が劣化し「フカフカ」する現象が起こりやすい状態です。床下換気口の位置と風の流れからジメジメ感が高い家では、やはり床下の根太や床下地板等が劣化している割合は高いと感じられます。通風悪く湿度が高い床下は、木部が湿っぽかったり、カビが生えている場合があります。また、床下空間の高さが低かったり、周辺に木や垣根などがたくさんある方が湿気が多く劣化しやすく感じます。
おそらく建設時の残材等を残したままの様子
中古住宅購入時の見どころとして、床下の状態でもう一つ確認しておきたいことがあります。それは、床下の劣化と共に「きれいさ」です。たまに建設当時のゴミなどが多数放置されている状態があります。そういうのを見てしまうと、あまりいいつくられ方していないのかなとも感じます。
床下が高く通気が良いので相当古い材の劣化が少ない様子
逆に、床下の高さが高い場合は、風の流れがよいため地面が土でもすっきりしていて劣化も少ないことを、古民家リフォームOKハウスの既存建物調査を実施した時に実感しました。
地盤が悪く沈下のため地割れがあった様子
たまにあるのは、地盤沈下しているかどうかの確認も必要です。これは、外部からの確認も可能ですが、床下を開けてみると沈下し地割れが見える場合もあります。
3.床下から考えるデザイン
床下の状態を確認したら、リフォーム・リノベーションへ向けて大きくは2つ考えます。
この2点は、今後床下の材料が腐朽しにくくすることと、将来的に維持管理しやすいよう人が出入りできる高さを確保すること。また、場合によってはお風呂をつくりかえる際に配管が設置できる高さを確保するためです。だから、1階の床高さすべてをそろえられる場合は、すべて同じ高さに整えることで、室内をバリアフリー&お掃除ロボを使いやすくできます。
今までの建物は、将来のメンテナンスを考慮したつくりになっていない場合が多くありました。住まいの維持管理の基本は、人が定期的に見て確認できることになります。だから、床が地面ではなくコンクリートのたたきとし、人が入りやすい高さがあることが、点検のしやすさへつながります。
束や束石に線状の土がついているところが蟻道
床下の湿度が高いと生息率が高いのがシロアリです。地面から束を伝って床へ向けて茶色い筋があると、それは、シロアリが登るルートである蟻道です。シロアリは、コンクリートの土間を打ったとしても、小さな隙間をみつけ登ってくる場合もあります。シロアリ駆除の専門家に伺うと、シロアリ防御で最も必要なことは、定期的に床下を見て、シロアリが登ってきていないかを確認することが一番よいと教わりました。床下全面に薬剤散布するのは、人体にもよくないし、無駄なコストだと思います。シロアリ対策に関することは調べたことや取り組んだこともあるので、今後紹介していきます。
4.天井裏は、きれいかどうか、どのように組まれているか
天井裏へ侵入して確認するのは、屋根の裏側がきれいかどうか雨漏りの痕跡がないかを確認します。また、梁がどのように組まれ、柱と梁の接合関係などを確認します。梁幅や柱の位置により、今後、プランを変更した際に柱を抜くことはできるのか、またその際の梁の補強などの可能性を検討するためです。
もう一点、筋交がどの方向にどこについているかも確認します。耐震補強の必要性も確認します。既存天井と梁の間の寸法も確認して置きます。リフォームする際に天井高さは変更可能かどうかなども確認します。
雨漏りや防水の劣化があると、小屋裏に染みができていたり、カビが生えている様子が伺えます。
建物上棟時に、祝上棟という棟札なるものが設置されます。上棟の年月日や施主名、棟梁の名前などが記されています。これを確認することで、建設時期の確認もできます。
5.天井裏から考えるデザイン。
天井裏の空間がたっぷりあり、梁の組み方がきれいな場合は、梁を見せるデザインも考えられます。特に古民家だと有効です。しかし、在来軸組み工法の築30年代以下の中古住宅では、下地材を利用しているため、見せるための仕上げ加工が必要な場合が多いです。小屋裏や梁を見せるためには、天井づくりの手間がかかるため、コストバランスの検討も必要です。
天井の高さをどれくらい既存より高くできるのか、また、間取り変更に対応して補強や組み換えが可能かどうかを検討します。天井裏に断熱材の厚みをどれくらい確保できるかも考えます。写真は、リフォーム前後の【古民家改修OKハウス】の様子です。
6.住まいの天井裏と床下確認してからリフォーム・リノベーションプランニングへ
これからリフォーム・リノベーションを行う住まいの足元の状態や天井裏の状態を確認し、住まいをこれからも長持ちさせるために必要な床下防湿対策と屋根の防水確認を行うことが、工事費の目安を検討する上でも必要です。また、耐震補強のための筋交位置を、壁を壊さずに確認することにもつながり、補強方法や予算も想定できます。基本的に直しておくべき部分を押さえてから、プランの変更や新しい設備、仕上げ材の選択を行うことが、安心・安全なリフォーム・リノベーションにつながります。
住まいは、定期的なメンテナンスや早期の劣化確認と修繕を行うことが、長持ちさせる秘訣です。床下点検口と天井点検口を確保し、年に1度ほどのぞいてみて変化はなさそうかを確認するだけでも違いますので、ぜひ、取り組んでみてください。
というわけで、住まいのリフォーム・リノベーション出張相談へ伺いましたら。まずは、台所の床下点検口と押入の天井が動く部分へのご案内をお願いいたします!写真は、調査道具の一部です。畳の下の荒床を開ける道具や距離測量機械、間柱を壁の上から調べる機械、床下、天井裏進入時用カッパなどもあります。調査道具も一式準備しておりますので、道具持参で参ります。
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