環デザイン舎
HOME | 建築のデザイン | 歩花ハウス

歩花ハウス  築30年代中古住宅エコリノベーション


歩花ちゃんが生まれたことで、 住いを考えはじめた 家づくりのプロセスです。
 
環境工学の先生と共に、エコリノベーションに取り組みました。中古住宅の選定に始まり、プランニングの再構築、断熱強化、段階的なリフォーム計画、 太陽熱と雨水を利用した天井放射冷暖房システムの構築、セルフビルド等とことん住まいと環境を考えるプロジェクトです。

「雨水を用いた放射冷房、木質燃料を用いた放射暖房のシステム」
 
 2期工事以降に設置を計画している自然のポテンシャルを活かす設備システムについてのイメージを施主である高橋達さんに説明頂きました。
 
 私(お施主さん)の住宅では、放射冷暖房用の合成樹脂配管を1階の天井と2階の床に埋設しており、夏季には冷却塔からの冷水を冬季には太陽集熱器と連結したガス給湯機からの温水を流しこむことにより放射冷暖房を行うように計画している。
 このシステムの加熱源機器を蓄熱式薪ヒーターに置き換えれば、図のようになる。蓄熱式薪ヒーターによる暖房は約80万円程度、図のような冷暖房のシステムにする場合は200万円程度、さらに太陽給湯・ガスによる追い炊き機能もつける場合なら250~300万円程度など、予算に応じた設備のラインナップがありえるだろう。いずれにしても、太陽熱、薪、雨水が加熱源・冷却源なのでランニングコストは著しく低く抑えられると考えられる。(2013.03)
「リノベーションとポテンシャル利用型住宅」
 
 1期工事竣工後、約1年間の生活実感を住まい手である高橋さんにコメントいただきました。
 
私は(お施主さん)築34年の木造住宅を、床下・天井裏の構造材の健全性を建築設計者に診断してもらった上で購入し、ローンの関係から工期を2回にわけて、リノベーションを行っている。従来の分断・個室化されたリビング・ダイニングをオープン化するといった使い勝手の面だけでなく、自然のポテンシャル利用の付加価値が見出せるようにしている。1期工事では1階の寝室を除いた壁の断熱、1・2階の窓すべての複層化、水まわり設備の一新を行った。中古住宅のリノベーションでは、既に住んで生活ができる住宅で、生活しながら身体で実感した不具合などをヒントにして、適材適所の改修により付加価値を生み出すことができる。
 私の場合、秋季の1期工事を終えて入居し、初めて冬季・夏季を体験した結果、「壁が未断熱の和室は最低室空気温が断熱済みのリビングより5~6℃低く、パーカーのフードを被って寝るほど寒い」「夏の風向きは、関東の海側地域と異なり、西から東」「日本家屋の構造で南面の開口が大きいので、室外日除けの大面積での実施・徹底が必要」など、住まなければわからないことばかりが2期工事の課題として把握することができた。そのため、東・西・南の窓には日射を除けつつも風を通すルーバー雨戸を、寝室の南側には断熱雨戸を設ける計画を進め、また、設備システムの計画の精度を上げることもできた。2期工事では2階の天井・壁、1階和室の壁の断熱も行う。このように、リノベーションは、生活体験・生活実感にもとづく改修項目の把握を可能とし、予算やライフステージに合わせて無理なく必要な項目のみを実現できる点が新築にない大きな利点であり、魅力である。(2013.03)
エコリフォーム3つの魅力1